講演を聞きに行ってきました。
福岡県少年サポートセンター公認心理士(元警察官)安永智美さん。
「命の問題(虐待・いじめ・非行)から子どもを守る多機関連携」という題でした。
「こどもを加害者にも被害者にもしないために」という副題にひかれて参加しました。
少年サポートセンターとは?
福岡県少年サポートセンターは、福岡県警察本部少年課の附置機関で、少年や保護者から相談を受けたり、子供の非行防止のための街頭補導、講演など広報活動、長期的な立ち直り支援までしているところだそうです。
スタッフとして、元警察官、元教員などの方々がチームで子どものための活動にあたっているそう。
そんな組織があるのを今回初めて知りました。
非行の原因は、親?
話を聞いて、一番グサッときたのは、
「非行の原因は親です」
ということ。
非行の原因が親、というと、「ええっ」となりますよね。
悪い友達が、とか、ネットの悪い情報に誘われて、とかではないの?と思います。
お話を聞いて分かったのは、
子どもにとって、親が「ほっとできる居場所」であることがとっても重要、ということ。
親がそういう場所でない場合、子供は家から外に出て、そういう場所を求めていく。
自分を否定せずに受け入れてくれる場所をさがして、それが悪い友達であったり、悪い大人になってしまうと、非行の入口に立ってしまう。
特に、悪い大人は、そういう子の気持ちをほぐして取り込んでいくのがすごく巧みだそうです。
そういうところから、シンナーや覚せい剤に手を出したり、悲しい事件に巻き込まれていく。
または、外に出ていかない子は、リストカットや売春など、自分を傷つけるような行動に走ってしまう。
講演の中では、子どもを虐待したりして、とうてい家がほっとできる場所でない、ひどい例もたくさん挙げておられましたが、
そういう犯罪に該当するようなことでなくても、親が親自身の価値観を押しつけ、子どもの気持ちを否定し続けたり、習いごとを詰め込んで子どもの時間を奪うようなことを続けていると、子どもの心は悲鳴を上げ、家庭内暴力や動物虐待などに走っていく例もあるそうです。
子どもには(大人にも必要だと思いますが、特に子どもには)、気持ちが安らぐ場所、自分の気持ちを吐き出せる場所が必要。
それが家の中にないから、町に出てそういう場所を探している。
それを聞いたら、非行少年や非行少女を見る目が少し変わる気がします。
講演された安永さんも言っていましたが、
非行少年、非行少女ではなく、不幸少年、不幸少女
だそうです。
自分の子どもや身近な子が人を傷つけたり自分を傷つけたりするような行動をした場合、「助けてほしい」というサインだと思って、相談してほしいということでした。
家がほっとできる場所であるためには
家が子どもにとってほっとできる場所になるためには、
トゲトゲ言葉を減らし、ふわふわ言葉をどんどん使う
ということでした。
トゲトゲ言葉とは、その子を認めない言葉。
もっと勉強して、一番にならなきゃ、成績がいいからあなたはいい子、あれはダメこれの方があなたには役に立つ、行儀よくできない子はうちの子じゃない、などなど
こういう言葉で子どもは緊張し、不安になる。
子どもの心にトゲを刺して傷つける言葉。
ふわふわ言葉とは、その子をまるごと認める言葉。
あなたがいるだけで幸せ、あなたが大好き、あなたは宝物
こういう言葉で子どもの心に水やりをすると、子どもの心がほぐれてきます。
親がそういう言葉を与えていると、何か悪いことに関わるきっかけがあったとしても、「これはいけないこと」「これは親を悲しませること」など、その子の中でストップをかけられることができるということでした。
親がそれを与えてあげられる状態でなくても、学校や児童福祉施設でほっとできる場所を得られて、変わっていった子もいるそうです。
それを聞いて、少し明るい気持ちになりました。
考えたこと
安永さんの子どもに対する思いを聞いていると、子どものうちに非行に走るほうがいいような気もしてきました。
子どもの方へ手を伸ばし続け、話を聞こうとしてくれる。
決してあきらめずに関わり続けてくれる。
大人になると、このようなサポートを受けられることは、そうそうないんじゃないかと思います。
非行少年少女が悪い大人にならないように、子どものサポートをサポートする体制がさらに充実してほしいと思いました。
逆に、悪い大人も、子どものころにいいサポートを受けられていたら、違っていたかもしれないと思うと、とても苦しくなりました。
大人も子どもも長期的にいいサポートを受けられるようになるといいな、なにかそういうことに関われたらいいなと思いました。
お読みいただきありがとうございました(*^^*)