こちらの本を読みました。
『子どもが教育を選ぶ時代へ』著者:野本響子さん
息子さんが日本の小学校になじめなくて、小学校一年生でマレーシアへ教育移住し、高校生になるまで、9つの学校を経験したそう。
マレーシアの人たちの「子どもがハッピーでなければ気軽に転校する」というマインド、学校を選ぶときの選択肢の多様さなどにびっくりします。
公立学校、インターナショナルスクール、ホームスクール、どれが特別というわけでなく、「学び方を自分で選択する」ことができるというのです。
これからの教育 4つのC
日本にいるとほとんどの学校が学習指導要領に従っているので、どこの学校に入ってもそう変わらない授業が行われていますが、世界に目を向けるとふたつの流れがあるそう。
ひとつは、プロイセンモデルの「従来型」(教室に座って先生から知識を授かるタイプ)。日本のほとんどの学校もこれだと思います。
もう一つが新しい教育の「21世紀型」。
新しい教育は、多くが次の「4つのC」を教える方向に向かっているそう。
・communication(コミュニケーション)
・collaboration(協働)
・creativity(創造性)
・critical thinking(批判的思考)
実際にどう教えているか、授業の様子なども取り上げられていました。
私が一番衝撃を受けたのは、クリティカルシンキングのところです。
実際の新聞などを題材に、ステップを踏んで分析していきます。
だれがどういう目的で書いているのか
どういうスタイルか(記事なのか、企業の広報なのか、論文なのか)
発信時間、発信場所は
発信者は発信するに値する知識などを持っているのか
発信のもとになっているソースはどういう手法で集めたのか、アンケートなのか、誰にどういうふうに取材をしたのか
発信元のメディアはどういう立ち位置か、誰が利益を得るのか
発信方法として、むやみに感情をあおったり曖昧にぼかしている部分はないか
などなど
私、恥ずかしながら、大人になるまで、各メディア(○○新聞とか○○テレビとか)にはそれぞれの立ち位置があってそれぞれの主張があるということを全然認識していなかったんですよね。
メディアの構造を見る、紙面や画面の向こうでどんな人がどんな意図で作っているモノなのかというのを考えたこともありませんでした。
大人になってやっと少し知ったという感じです。
今回、本を読んで思いましたが、日本でメディアを批判的に見るという教育がなされていないのは、戦争の反省が生かされていないということではと思い至りました。
半藤一利さんの本で読みましたが、戦時、ラジオの契約者が増え始め、ラジオは速報として戦争のニュースをどんどん流した。新聞は負けじと号外を出した。競い合って勇ましい記事を出し、契約者を獲得しようとした。
国民は新聞やラジオから流れる戦況に熱狂した。
世論の雰囲気に押され、軍も、これは行くしかないというような流れになってしまった。
「戦争を忘れない」と言うからには、戦争がいかに悲惨であるかということだけでなく、なぜ戦争に至ったのか、意思決定機関、メディア、一般の国民はどのような役割を果たしたのかを振り返り、それを繰り返さないためにどういう教育が必要かというところまで落とし込んでいくことが必要なのでは、と思いました。
戦争のことは別としても、今は、新聞とラジオだけでなく、様々なメディアがあって様々なインプット方法があります。
検索ひとつで山のような情報が出てくる中、それを自分でどう見分けるのかが重要になってくる。
情報の信頼性を自分で判断できないと、たまたま触れた情報に流されて、考えがどんどんあらぬ方向へ行ってしまうかもしれません。
子どももこれから親の知らないところでいろいろ自分で情報を得るようになってきます。
従来型にしても、新しい教育にしても、この「情報の信頼性を読み解く能力」は誰もが持っていたほうがいいものだなと思いました。
もちろん家で親とできることもあると思うけれど、親だけの考えだけでなく、友人たちといろんな考えを持ち寄る、自分たちで調べるということができたらすごくいいなと。
海外が絶対いいか
そんなふうに、人と意見を交換して考えを深めていくような学びをするとき、日本では同じ学校に通っている子どものバックグラウンドについて、そこまで差は出ないけれど、マレーシアを代表とする他の国では、人種、宗教、家庭環境などが様々な人と触れ合うことができます。
それぞれの背景から出た考えというのも触れるることができる。
そういうのは日本の学校ではなかなかない経験だなと。
ただ、気をつけておくこととして、著者の野本さんも言っていることですが、みんなが海外に行くことが絶対にいいというわけではないということです。
みんながみんな海外に行く必要はないし、日本の学校で楽しく過ごしていたり、打ち込んでいるものがあったり、友だちと離れたくないなど、子どもの気持ちを無視して親が決めてよいものではないと。
また、英語力がないと、海外留学のための情報も日本語でとることになって、せっかく海外に行っても、結局日本人だらけの学校に入るということがある。
子どもも英語がある程度できないと、英語力があまりなくても入れる学校となると、またそこも日本人だらけ、ということもありますよ、ということでした。
なるほどー。
やみくもに海外に行けばいい、というわけではないんですね。
(このへんの話は野本さんのVoicyで話されていました。)
うちとしても、私も夫もフットワークがあまり軽くなく(^^; よし、これからは海外だ!留学だ!海外の学校を調べてみよう!とはならないのですが…
もし今後子どもが学校に通いたくないとか、教室にいるのが辛いとか、そうなったとき、日本にはほかの選択肢がとても少ないなあと。
転校するにしても、毎日同じ時間に学校に通って、前に黒板がある教室で同じ年の数十人の生徒と一緒に並んで先生の話を聞く、というスタイルは変わらないわけで。
「そういうのがイヤ」な子にはつらいですね。
日本でも、そういうんじゃない学校が少しずつ出てきているということなので、子どもが学校を変わりたいとなったら、その辺をもう少し調べてみようかなと思います。
日本にいながら無料で学べる海外コンテンツ
そして、本の中で、日本にいながら海外のコンテンツで無料で学べるものもあるよ、と多くのコンテンツを紹介してくれています。
代表的なのが「KahnAcademy(カーンアカデミー)」で、小学校から高校までの数学、物理、生物などのほとんどの授業が無料で学べます。(Googleなどが出資しているそう。)
ただ動画がアップされているだけでなく、自分の理解度に合わせた問題を出してくれて、クリアするとポイントがもらえたり、ゲーム感覚で学べます。
日本で各社がやっている通信講座が無料で提供されている感じです。
ただ、日本語になっていないものも多いので、やっぱり英語で情報が取ってこれるというのはすごいですね。
英語が使えるようになると、教育にかかるお金が節約できそうです。
やっぱり英語かー。
ということで影響を受けまくり、私の方はずっと細々と英語勉強していたのですが、オンライン英会話に手を出すことにしました。
子どもにも、無理強いはしない、と決めて、一緒に楽しくできるやつがあったらなーという感じで「やってみる?」と誘ってみました。
次回はオンライン英会話始めてみた話を書きたいと思います。
ではでは。