娘はHSC~親ができそうなことをやってみた~

長女はほぼ間違いなくHSC(とても敏感な子)。次女もおそらく。夫と私はHSPです。うちでの試行錯誤を書いていこうと思います。

おとぎ話の裏側にあるもの

先日、市民講座の講演を聞きに行きました。

講師は九州大学言語文化研究員谷口秀子さん、

「ヒロインは気立てが良くて控えめで?」というタイトルでした。

 

おとぎ話の裏側を読み解こうという趣旨のお話でした。

冒頭、「シュレック」と「シンデレ王子の物語」というふたつの話を例に出されました。

 

(以下ネタバレありです)

 

シュレック」の主人公は緑色の怪物。

囚われた姫を助けに行ってみたら、姫はカンフーの達人で暴漢たちをひとりでノシてしまったリ、鳥と声量較べをして勝ち、その鳥を丸焼きにして食べてしまったり!

 

「シンデレ王子」の方は、主人公はひょろひょろひよわな男の子シンデレ。マッチョで毛むくじゃらのお兄さんたちのお世話をしています。

ブツブツ文句を言いながらも日々を過ごしていると、魔法をかけてもらえて、お城のパーティに行けることに。

そこでお姫様と出会うけど、帰らなくてはなりません。

シンデレは逃げ帰る途中、ひょろひょろの体にあう小さなパンツを落としてしまいました…。

 

ふたつの話は、なんだかクスッと笑えますね。

シュレックでは、「姫はおしとやかで優しくかわいらしいもの」というような思い込みがガラッと崩されるところがおもしろい。

男の子版のシンデレラは、落としていくのがガラスの靴でなくパンツ、というコミカルなところもありますが、現状にブツブツ言いながらなんとなく毎日を暮らしてたら、お姫様に見初められて幸せになるなんて。

会場から、「男でそれってどうよ?」という感想も出てきました。

ですが、「じゃあ、女ならそれでいいの?」という問いにハッとしました。

 

おとぎ話では、往々にして、男の子が主人公の場合、主体的、行動、勇気、冒険、成功、経済的上昇、社会的上昇、自己実現 といったストーリーが描かれます。

女の子が主人公の場合、気立てがよい、受け身、男性に救われて幸せになる、運命を受け入れる、耐えていれば救ってもらえる、辛い状況でも明るくふるまう、というようなストーリーが描かれます。

そして、ヒロインに害をなす敵役として出てくる魔女や悪女は、主体的で行動的、知的、計画的、男性と対等に渡り合う、というようなキャラクターで描かれます。

が、彼女たちは最終的に不幸な目にあうことになります。

 

男の子のキャラクターのポジティブなメッセージも、男性のステレオタイプな価値観を投影していて、読む側に「強くなれ、成功してこそ、誰にも頼れない、自分で苦境から脱するべき」という考えを与えます。

そのすべてが悪いわけではありませんが、それしか選択肢がないと、苦しくなってしまうかもしれません。

 

スペインでは、ステレオタイプな価値観を植え付けるとして、200冊の本を図書館のこどもの棚から撤去する動きがあったそうです。

これには賛否巻き起こり、「小さいうちは見ない方がいい」「いや、読んで自分で考えればいい」「いや、読んでいいけど、大人が解説するべき」などと議論が白熱したそうです。

 

ネットに記事がありました↓

www.huffingtonpost.jp

 

講演してくださった谷口先生が言っていたのは、

「おとぎ話はおもしろくない、読むな、ということではありません。

話としてはとてもおもしろいからこそ今まで読み継がれてきました。

ただ、大人が知っておくことが必要です。

おとぎ話は古い家父長制の価値観で作られていて、何度もそれに触れることによって、男女のステレオタイプの刷り込みになります。

おとぎ話に限らず、児童文学作品やマンガ・アニメもまだステレオタイプなものが多い。

大人がそれを理解して、子どもに与えるときにはもっとほかの選択肢もあることを解説してあげましょう。」

というお話でした。

 

実は先月、「おとぎ話を子どもにあんまり読んでないな」と思って、おとぎ話集を買ったところでした。

せかい童話図書館(40巻セット)

(1974年初版ということもあってか、結末がマイルドになっていなくて、おおっと思う話が多いです。

「三匹の子ぶた」ではワラと木で家を作った兄弟はオオカミにしっかり食べられてしまします。

「さるとかに」では、栗と蜂と臼にやられたさるに対し、かにの坊やが「 親の仇!」と自分のはさみでその首を切ります。)

 

話が逸れましたが、シンデレラも白雪姫もちゃんとおとぎ話集に入っていました。

ということで、私も考えてみました。


シンデレラ

いじめに耐えて逃げ出さないでじっと家事をしていたら、魔法使いが助けてくれる、王子様が救い出してくれる。

→現状を受け入れる主体性のなさ、他者依存が見える。

→継母や義理姉のいじめに耐えてないで逆らっていい。逃げ出していい。

逃げ出しても家事代行業で食べていけるかも。

 

白雪姫

こびとの家にいていいかわりに「家事をしてね」と言われる。

何度も怪しいおばあさんを招き入れちゃう(リボンで絞められる、毒のくしで髪をとかれる、毒リンゴたべさせられる)。

寝ていたら王子さまに見初められる。

→女=家事という印象、かしこさが足りない描かれ方、寝ていたら幸せがやってくる主体性のなさ。

→こびとは今まで家事は自分たちでやっていたんだから、全部を白雪姫にさせるのはいかがなものか。

怪しい人の言うことは聞いてはいけません。

王子様がいやだったら拒否していい。ちゃんと相手のことを見極めてからOKしましょう。

 

という感じでしょうか(*^^*)

まだまだ考えられそうで、お話を読むとき、またちがう楽しみをもらった気もします。

 

おとぎ話に限らず、あらゆるコンテンツはジェンダーステレオタイプがひそんでいたり、ほかの偏見がその奥にあったりします。

それに気づくきっかけを少しでも多く持てたらいいなと思いました。

 

お読みいただきありがとうございました!