こんにちは。
今日は、カチカチ山について書いてみようと思います。
カチカチ山って、あの昔話のカチカチ山なんですけど、あのウサギとタヌキが出てくるやつ。
カチカチ山の読み比べをしたらおもしろくて、子どもたちにとてもウケたので、ご紹介します。
昔話読んでますか?
まず、昔話って子どもに読んだりしてますか?
うちは全然興味なかったというか、 特にがんばって読ませようと思わないと、ほかにおもしろい絵本もいっぱいあるし、昔話ってなかなか読まないかなと思うんですよね。うちだけかな?うちはあんまり読んでなかったんですよね。
あとは、ジェンダー関係の講演会に行ったことがあって、 昔話って男の子とかが主人公が多いじゃないですか。日本だと桃太郎とか一寸法師とか、外国でもジャックと豆の木とか。
女の子は、あまり役に立たない子扱いというか、 男の子が冒険して、女の子は待ってる役、男の子が冒険した結果、ごほうびとして与えられるお姫様みたいな。
そういうのが多いので、 むしろ「昔話ってちょっと有害じゃない?」みたいに思ってるところもあって、 あえて子どもたちにがんばって読ませていなかったんですよね。
読むようになったきっかけ
それで、最近になって、 昔話を読むきっかけがありまして。
本屋さんに行ったらホームスクーリングをしている方の本を見つけて、読んでみました。
「学校や塾へ行かずに、いかにして4人の子どもたちは独学力を身につけたのか?」内藤浩哉
4人姉妹みんな学校にほぼ行かずに、 大学進学できる力を身につけた、みたいな本なのですが、「独学力」っていうのにちょっと惹かれました。
子どもが学校休んだとき、ほぼ私にべったりになるんですよね。
なんかこう、ひとりで勝手にやってくれないものかなあ、と思っていたところに「独学力」というのが刺さりまして。
それから、子どもたちが今後本格的に「学校行きたくない」ってなったときに、ホームスクーリングのことも知っておいたほうがいいかなーというのもあって、読んでみました。
そしたら、昔話をめちゃくちゃ推してまして、 「とにかく昔話を読むのが大事!」みたいなことなのです。
「昔話の読み聞かせ」をかなりの部分を割いて推している。
昔話??なんで?ってなりますよね。
引用してみます。
創作話はあたたかく、美しく、感動的で、身近に親しめる作品がたくさんあります。
昔話は教訓的だと思っている人もいますが、そんなことありません。
「はなさかじい」「こぶとりじいさん」など正直じいさんが幸せになって、いじわるじいさんが不幸になるというお話もあるので、いくらかは教訓に見えるでしょう。
しかし昔話って、そんなものではありません。毒があります。残酷です。なまけ者やウソつきが幸せになります。
教訓的どころか、アンチ教訓的なお話もずいぶんあります。現実ばなれした極端を語り、合理性メチャクチャです。
合理的、理性的な考えをする人(世間で頭がいいと思われている人)には受け入れがたいかもしれません。心理描写もありません。
昔話はつっこみどころ満載で、まったくスマートではないし、知的にも見えません。だからこそ良いのです。最高に、良いのです。
そもそも抽象概念自体が、非現実なのです。なんでもありの、ハチャメチャな昔話、いいじゃないですか。
昔話は、ただたんにメチャクチャなのではありません。そこに無数の知恵があるのです。あってほしい世界、あってほしくない出来事、自然とはこういうものだ、人間とはこういうものだ、というようなことをかくしへだてなく、ありのままに語ります。
やりすぎではないか、と思われるものでも手加減なく。」
ふーむ。教訓的でなくていいのね。
とにかく、今一般的に知られているモノだけでなく、たくさんたくさん読むとよいとありました。
昔話、そんなにいいのかな?と思って、 最近昔話を読むようになりました。
めっちゃ影響されてるんですけど(^^;
それで、家にあって最近読んでいなかった昔話集(これまた以前なにかに影響されて買ったものだけど、何に影響されたんやろ?)を取り出しました。
『世界童話図書館』っていうシリーズものの小さい本なんですけど、購入していたことがありまして、
買ったときはけっこう子供たちと一緒に読んだ記憶があるんですけど、最近忘れてました。
それを改めて読みました。 その中の一つのカチカチ山を子どもたちが気に入って、他のカチカチ山も読み比べてみたので、やっとそのことを書きます。
やっとカチカチ山の話
残酷なカチカチ山
先ほどの引用にもありましたが、昔話ってけっこう残酷です。
改めて読むまでのざっくりした印象は、「カチカチ山って、なんかウサギとタヌキが出てきて、背中に背負った木の束?みたいなところに火をつけて、うわーっとかやって、ウサギがタヌキを懲らしめる話?」という記憶。
読んでみると、こんな感じでした。
・おじいさんがたぬきにいたずらをされて、 怒ってたぬきを捕まえて、 自分の家に吊るしておく。
・監視役のおばあさんにたぬきが「縄をほどいてくれよ。痛いよう痛いよう」とか言って、おばあさんはちょっと縄を緩めてやる。
・そのとたん、たぬきはおばあさんを杵(きね)で打ちのめし、おばあさんは殺される。
・たぬきはおばあさんをババア汁(⁉)にして、自分がおばあさんに化けて、帰ってきたおじいさんにババア汁を飲ませる。
・おじいさんはそれがもうつらくて悔しくて、仲良くしてたうさぎが仇を討ちにいく。
・うさぎはたぬきに茅を背負わせて火をつける(有名なカチカチやる場面)
・たぬきが死ななかったので、うさぎは翌日たぬきを訪ねていき、たぬきのやけど箇所に唐辛子のみそを塗り込む。たぬきは痛くて悶絶。
・それでも死なないので、泥舟を作ってたぬきを誘い、「船遊びご機嫌だよね!景気よくボンボン叩いてみて!」とか言って、船が壊れてタヌキは沈んで死ぬ。
・おじいさんとうさぎは仇を討ったと喜び合う。
マジか!?ですね。
前半もすごいし、後半もすごい。
たしかに昔話すごいわ。
秋晴二さんのカチカチ山
それから、家にあったカチカチ山なんですが、これがちょっと趣向が違くて、ちょっとマイルドなんです。
・おじいさんがたぬきを吊るして、一般的なのは「これでたぬき汁にしよう」とおばあさんに言うんですが、こちらのバージョンは「2、3日も吊るしておいたら懲りるだろう」みたいな。 お仕置きなんですね。
・それで、たぬきもが「逃がしてくれよ」って言って、縄を緩めたところで逃げ出すっていうのは一緒なんですけど、逃げるためにおばあさんを突き飛ばしたら、おばあさんが臼(うす)にぶつかって死んでしまう。
他のカチカチ山ではたぬきに殺意があるんですが、こちらのバージョンは過失致死なんですね。
・そこからうさぎの復讐が始まるのは同じ。
うさぎは何度かたぬきを仕留め損ねて、おじいさんに報告に行くのですが、そこから少し変わってきます。
おじいさんは、おばあさんが死んだ場面を目撃していたねずみから「たぬきはわざと殺したのではなく、逃げるときの勢いで突飛ばしてしまったのだ、その結果おばあさんが死んでしまった」と聞かされていました。
それで、おじいさんはちょっと弱気になってくるんですね。「もう今のところで十分たぬきも懲りたんじゃないか。もうたぬきを許してやろうと思う」とか言う。
ところがうさぎが暴走します。「おじいさん、それではおばあさんがかわいそうです。今度こそ必ずかたきを討ちますから」とおじいさんの言うことを聞きません。
なんかね、次から次へと作戦を繰り出すうさぎがなんか楽しそうなんです。
やけどで弱っているたぬきのところに、唐辛子入りの味噌を携えていながら、「たぬきさん、具合はどうです?今日はやけどによく効く薬を持ってきたんですよ」とか言いながらしれっと現れる。
(このへんを悪い人風に読むと、子どもたちすごく盛り上がってました(^^;)
作戦が失敗すると「運のよいたぬきだ。もう少しでかたきを討てたのに」としきりに残念がったり。
最後の大仕掛けの船を作っているところもなんか楽しそう。
そうしてたぬきの泥舟を沈め、おじいさんに報告に行くのですが、おじいさんからは「おばあさんはもちろん喜んでくれるだろうが、本当にこれでよかったのか。」みたいなことを言われちゃう。
先ほど紹介した内藤さんの本には、マイルドになっている昔話はよくない、と言うようなことも書かれていました。
過失致死とか、おじいさんの後悔とか、マイルドになってるのかな。
ですが、「止まらないうさぎの執着心」みたいなのが、現代風に残酷でうすら寒い。
こっちのバージョンを読むときは、うさぎのヤバさを強調して読んでみるといいですね(^^;
まとめ
昔話、意外と面白いです。
今回は詳しく書けませんでしたが、昔話の後ろに解説がついていることがあって、昔話が時代によってどういう扱いを受けてきたか知ることができます。
(かたき討ち=武士の義侠心の高揚、とか、桃太郎は戦前の軍国主義の下では鬼畜米英を征伐する正義の子として描かれたとか。そういう使われ方が!というようなことも。)
子どもたち、「昔話なんてー」と嫌がるかなと思いきや、すごく楽しんでます。
ここ最近は猿蟹合戦がお気に入りです。
図書館に行ったときなど、ちょっと昔話コーナー見てみてはいかがでしょうか。
ではでは。
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ジェンダー的と昔話の関係は以前に書いていたことがありましたので、貼っておきます。
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