今日は長女の話はちょっとお休みにして、先月、読書会イベントに参加しましたときのことを書きます。
読んだのはこれ。
『ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観』
(Amazonの紹介ページより)
著者のピダハン研究を、認知科学者S・ピンカーは「パーティーに投げ込まれた爆弾」と評した。
ピダハンはアマゾンの奥地に暮らす少数民族。
四〇〇人を割るという彼らの文化が、チョムスキー以来の言語学のパラダイムである「言語本能」論を揺るがす論争を巻き起こしたという。
本書はピダハンの言語とユニークな認知世界を描きだす科学ノンフィクション。
それを三〇年がかりで調べた著者自身の奮闘ぶりも交え、ユーモアたっぷりに語られる。
驚きあり笑いありで読み進むうち、私たち自身に巣食う
西欧的な普遍幻想が根底から崩れはじめる。(後略)
2月初旬に読書会の募集があり、月末にzoomで読んだ感想の共有会がありました。
参加ポチしてから1か月間、朝の家事の時に少しずつ耳読して、気づいたこと考えたことをメモしていました。
ベント直前には、メモの中から、何を言おうかまとめてみて。
その1か月間の毎日がとても楽しかったです。
【ピダハンを読んで感想】
①ピダハンの人たちと自分の前提が違いすぎる
・ピダハンは食料を備蓄しない。
魚を獲ってきたり、動物の獲物をとっても、すぐに全部食べてしまう。
・外部の人たちが持ち込んだ便利な道具(農作業の道具とか)を大事にしない。
・著者(言語学者でキリスト教の伝道師)が死にそうだったピダハン赤ちゃんを必死に世話をして助かりそうになったのを、「この子はもう生きていけないから」と殺してしまう。
・色・挨拶・右左の概念がない。
・著者の継母が自殺した話を聞いて爆笑する。
➡ 同じ人間でもそこまで前提が違うんだ、と驚愕。
生死に対する向き合い方がちがう。
食べ物に関しても、安定的に食料があることを欲しない。
まだ食べ物をとっておく動物やアリなどの方が親近感を感じる。
ピダハンには不安になる遺伝子がないのか?
食料を保存しなくても、数日以内には何かしら食べるものが手に入るジャングルの環境のせいなのか。
環境なのか遺伝子なのか両方なのか、なにがピダハンをそうさせているのか。
民族ごとの性格や行動パターンの違い、みたいな本も読んでみたくなりました。
②著者の人間くささがおもしろい
ピダハンには儀式がない。
高度な道具や文化や創世の神話もない、族長みたいな存在もいない。
著者が研究初期のころ、「もっと高度な文化があるやつがよかった。研究対象としてつまんない」みたいな感想があり、ぶっちゃけてておもしろい。
また、著者がマラリアで死にそうな妻子を連れて病院へ行こうとするとき、ピダハンに「帰りにマッチ持って帰ってきて」とか言われて、キリスト教の伝道師だけど、めっちゃ怒る。
伝道師も人間だよね。
③キリスト教について(信者の方がいたらごめんなさい)
言葉も通じない奥地に分け入って、相手の言葉を勉強してまでキリスト教を広めたい。
その信念すごいなと。
どこかで「信念とは欲望のことである」と聞いた。
自分たちが絶対に正しいと信じる気持ち。
相手を変えたい欲望。
そりゃいろいろ各地でモメるよな、と。
伝道師として、キリスト教の布教に際し、「救いの前に相手を迷わせること。現状に満足していては神を求めない」と教えられているということ。
迷える子羊だから、誰かがそこから助けてくれるのを望む。
まず相手を「迷える子羊」にするところから伝道は始まる。
宗教ってそういうことなんだな。
(読書会参加者の方から、「キリスト教の布教には経済圏を広めるという意味もあったのでは」という話を聞いて、とても面白かったです。そういうのも読んでみたい)
著者のキリスト教の布教の目的は、
「直接体験したことでないと価値を認めないピダハン」
の前に崩れ去る。
「お前はイエスを見たことがあるのか、聖書の話を自分で体験したのか、そうでなければ話は聞かない」
「お前はここにいていいけど、イエスの話はもう聞きたくない」
著者は最終的にキリスト教を捨てる。
誠実な人なんだろうな。
④ピダハンは、それでもとても幸せ
ピダハンはとても幸せそうで、よく笑うのだそうだ。
文明社会をうらやましく思わない。
発展しようと思わない。
夜は危険が多いので、細切れでしか寝ない。
乳幼児の生存率は低い。
でも幸せ。変わる必要がない。
迷いがなく、幸せなピダハンには救いの神はいらない。
ここでアマゾンの環境で生きていく、という覚悟なのか。
新しいテクノロジーを使おうと奮闘し、chatGPTに沸いているこちらの世界からは、その感覚は理解しづらいですが、
この本を読んだことで、ひとつ違った価値観を持てた気がします。
④自分の中で変わったこと
本を読んで私の生活で何が変わったというと、お腹いっぱい食べなくなりました。
ピダハンは一日3食食べる習慣はなく、毎日必ず食べるということもない。
朝の3時でも午後の3時でも、魚を獲って来た時が食事時。
同じくアマゾン先住民の末裔の「カボクロ」という人たちについての言及もあり、
カボクロにとって、「太っているのは自分が必要としている量より多くとっている怠惰な不精者だ」
カボクロもピダハンも、引き締まった体とタフな精神をもち、自分の体で狩りや漁をして生きる。
そういうのを読んでいると、自然と食べる量が減りました。
家族との団欒の目的もあるので、今までどおり3食食べてますが、毎回、「食べるのは少しでいい」と思うように。
なんとなくそんな食生活をしていると、自然に1キロやせていました。
(今まで食べ過ぎだったのかも?)
【参加者の方との雑談で】
・snowのアプリで自撮り写真からアイコンを作られていて、やり方を教えてもらった。
やってみたらとてもおもしろかった!
(今後ブログで紹介できたらと思います(*^^*))
・参加者の方が書かれたKindle本『2歳児と公園に行くのが楽しくなる本』
参考になることがたくさんでした!
・参加者の方、最近ゴミ拾いをしているそう。
で、ゴミ拾いは、やってもやっても完璧な状態にはならない。
通る道の全部のゴミを拾うことはできないし、今日やったところも、次の日にはまたゴミが落ちている。
完璧主義に陥りがちな人は、ゴミ拾いをすると「完璧なんてないんだ」と肌でわかるかも、というお話。なるほどでした。
・『ピダハン』の本を紹介している『ゆる言語学ラジオ』のYouTubeを紹介してもらいました。
すっかりファンになって、毎日見ています。
ピダハン、ぜひ読んでみてくださいね。
『ゆる言語学ラジオ』もおすすめです。
ではでは。
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